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都議会検証 都政を変える

「法の外」に異例の規制 共産党都議団の調査と提言で実現 宿泊デイサービスに独自基準 | 13/06/13

「お泊まりデイ」を行っていた「清水の郷・デイサービス十条

=北区、2010年12月

 通所介護事業所が、介護保険外の自主事業として行う「お泊まりデイサービス」(お泊まりデイ)。理念を持って取り組む事業所がある一方、法的規制がなく、「高齢者のネットカフェ」と呼ばれるような「貧困ビジネス」化も広がっています。日本共産党都議団の取り組みで、東京都に独自基準と届出・公表制度がつくられました。実態把握さえ拒否する都の無責任姿勢を変えさせた都議団の調査活動と都議会論戦をみてみます。



骨が見えるほどの傷

 共産党都議団がこの問題に取り組むきっかけは、2010年10月に大山とも子都議のもとによせられた「お泊まりデイ」の利用者家族Aさんからの相談メールでした。
 Aさんの父親が施設で、すねの骨がみえるほどの傷を負っていたというのです。そのことがわかったのは、深夜、容態が急変し、搬送された先の病院でした。医師が、傷を発見したのです。
 いつ、どうして、このような負傷を負ったのか、Aさんが施設に聞きました。しかし、施設側は、記録もなくて、傷には気付かなかったというだけなのです。
 Aさんの相談を受けた大山都議は、父親が利用していた「清水の郷・デイサービス十条」の実態を把握し、同年10月28日、都議会厚生委員会で東京都の対応をただしました。
 通所介護事業所は、東京都が開設申請の審査を行い、都知事が指定通知書を発行します。大山都議は、都に指導責任があることを厳しく指摘し、実態の把握と指導を行うよう求めました。
 都は、「事業所への調査・指導は保険者(区市町村)の役割だ」との答弁に終始。実態さえつかもうとしませんでした。
 共産党都議団はこのまま放置できないと判断。同年11月から12月にかけて徹底した実態調査を行いました。

都内の実態が明らかに

 調査では、都内の全通所介護事業所1952施設に「通所事業所で実施している宿泊事業に関するアンケート」を送付。直後から続々と回答が寄せられました。
 利用者と家族の切実な要望に応えて努力している事業所からも、経営面での苦しさ、安全面での不安などが寄せられました。
 アンケート調査には547施設が回答。インターネットでの情報収集も行い、「お泊まりデイ」を行っている事業所が、都内で140カ所以上あることが初めて明らかになりました。
 1年から2年にわたって連泊しているケースなど、実質的に特別養護老人ホームなどに代わる施設になっている事態も多くありました。
 さらに都議団が手分けして事業所を訪問しての聞き取り調査も行いました。
 都議団は、Aさんの父親が利用していた「清水の郷・デイサービス十条」も訪問しました。
 事業所は住宅街にある一戸建ての普通の民家。玄関を入るとすぐに10畳の部屋。訪れた時刻は午後6時20分。すでに夕食が終わり、2組の布団が敷かれています。ベッドが1台、ソファーも2つありました。
 隣の6畳の部屋にもベッドが2台。奥の部屋にも2人が宿泊しています。
 1人しかいない泊まりの職員に聞くと、この日の宿泊は7人ということです。普段は10人で、10畳の部屋に布団をもう一組敷き、2つのソファーもベッドに使うといいます。すき間もなく詰め込み、男女混合の雑魚寝状態です。これで利用料は食費別で1泊2100円です。
 「危機管理マニュアルはありますか」との問いに、職員は冷蔵庫のドアに貼られた1枚の紙を指しました。「火事の時は119番に通報する」「大声でみんなを起こす」など6項目が書かれているだけです。
 車いすの人や認知症の利用者もいます。事故が起きたらどうなるか、不安がよぎります。
 勤務について尋ねると、日勤からそのまま泊まりに入り、翌日はまた日勤という強行軍です。泊まりは月6回。仮眠する場所もなく、「台所の食卓に突っ伏して寝ます」といいます。
 職員も過酷な状況のもとで、重大事故に気づかなかったのでしょうか。

大きな注目集めた調査

 全道府県への調査も行い、各県の取り組み状況も把握した上で、「日本共産党都議団の提言」を作成。同年12月6日、記者発表しました。同時に都に、実態把握と独自基準の作成、届出制度の実施など規制と誘導両面の対策を求める申し入れを行いました。
 調査と提言は大きな注目を集めました。全国紙が調査結果を1面トップで報道。事業所の聞き取り調査を続ける大山都議にテレビ局が同行して「『高齢者ネットカフェ』実態を追う」という特集番組も放映されました。
 「たこ部屋のような状況がテレビで流され、とくに消防関係者の関心が強かった」と、都の担当者はいいます。都も重い腰をあげて、消防とともに200施設ほどの緊急調査を行いました。
 この間、都議団は計5回の質問を行い、基準の内容についても、高齢者の尊厳が守られるように論戦を展開しました。
 こうして2011年4月、都は独自の「指定通所介護事業所等における宿泊サービスの基準及び届出・公表制度」を制定。人員基準、設備に関する基準、宿泊室、運営に関する基準など、おおむねグループホーム並みの基準を定めました。
 宿泊室については、個室の利用定員は1人、個室以外に宿泊室を設ける場合は、1人当たり7・43平方メートル程度で、プライバシーが確保された構造が必要としています。
 共産党都議団の4カ月間の調査と論戦は、都を大きく動かし、異例の「法の外の事業に対する」規制(都の関係者)をつくらせたのです。
 最近も都外の複数の市の社会福祉協議会から、共産党都議団の調査用紙がほしいとの問い合わせが来るなど、注目が広がっています。

調査のまとめを手にして語る大山都議

大山とも子都議の話

 野放し状態だったお泊まりデイサービスに関する独自基準を作り、届出制度を実施したことは画期的なことです。しかし、「高齢者のネットカフェ」といわれるような状況を作った大本の問題は解決されていません。劣悪と分かっていても利用せざるを得ないのは、特別養護老人ホームに入れない、老人保健施設も空いていない、ショートステイも緊急時には使えない、小規模多機能もグループホームも整備率が全国最低水準という、圧倒的な介護基盤整備の遅れにあります。問題の根本的打開のために、これらの施設整備や在宅サービスの拡充を進めさせることがいっそう重要になっています。
 

 都議選の投票日(6月23日)が2カ月あまりに迫っています。前回都議選から4年間、日本共産党都議団は、都民の願いを受けた論戦と調査で、多くの分野で都政を動かしてきました。各党が都議会で果たしてきた役割など、この4年間をシリーズで検証します。 
(東京民報2013年4月14日号に掲載)
   

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