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トップ>トピックス>都議会報道 |10.03.24

都青少年健全育成条例「改正案」 表現の自由侵害への不安広がり継続審議へ

質問する古館都議 東京都が提案した子どもを性的対象に描いた漫画やアニメの規制を強化する青少年健全育成条例の「改正案」に対し、漫画家や出版関係者などから「表現の自由を侵害する」との批判や不安が広がっています。都議会総務委員会は19日、多くの傍聴者が詰めかけるなか、全会一致で同「改正案」の採決は見送り、継続審議になりました。30日の最終本会議で、正式に継続審議が決定される見通しです。何が問題となっているのでしょうか―。

架空の子どもが新たな規制対象

 条例「改正案」は、実在の子どもだけでなく、服装などから18歳未満と判断される架空の青少年(非実在青少年)を、性的な対象に描いた漫画やアニメも新たな規制対象に加えました。
 「強姦(ごうかん)等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写した」作品については、第三者でつくる都の審議会が青少年の「性に関する健全な判断能力の形成を阻害」するおそれがあると認めた場合、不健全図書に指定。18歳未満に購入・閲覧させない対策を販売者らに義務付けます。従わなかった場合は、罰金(30万円以下)が科せられます。

著名漫画家が「反対」の会見

 PTA関係者などから、「児童が性的な対象になることが野放し状態だ」として、「改正案」の成立を望む声があがっています。一方、著名な漫画家らが「表現の自由を損なう」と記者会見(15日)。里中満智子さんは「発想力のもとで生まれたキャラクターに対してまで網をかけるというのは、あまりに狭く考えすぎ」、ちばてつやさんは「いろんなことを規制することによって、表現全体が元気がなくなる」とのべました。
 18日の都議会総務委員会は、この「改正案」が審議され、いくつかの問題点が浮き彫りになりました。その一つが18歳未満と判断される「非実在青少年」を規制対象にしたことです。
 日本共産党の古館和憲都議は、作品の中で自分の年齢は18歳以上と発言したら、明らかに子どもと描かれていても規制対象とならないことを指摘。「そもそも漫画やアニメのような創作物の中の世界に住む非実在の人間に、規制の網をかぶせようとすることに無理がある」と強調。そのため恣意(しい)的に判断される余地が大きいとのべ、「表現の萎縮(いしゅく)につながりかねない」と批判しました。(写真上
 さらに、漫画やアニメなどでの性的描写が、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するとする学問的知見が見いだせていないことも、都側の答弁で明らかにさせました。

子どもの成長へ力あわせよう

 その上で古館氏は、「改正案」の提案は唐突であり、「都民の自覚と合意を形成し、(青少年の人格完成へ)力を合わせていくには、ほど遠い状況だ」とし、反対の立場から徹底審議を要求。「未来を担う青少年の成長と自主的な人格の完成を、私たち大人社会が責任をもって応援するために、学問的知見を含めて都民の英知を結集し、都民の合意をつくり、力を合わせて取り組むことを提起する」とのべました。
 民主党は「改定案には懸念されることが多く、十分な審議を求める」と発言。自民、公明両党は「一日も早く成立させるべきだ」と主張しました。自公両党は、継続審議に賛成したものの、この立場は変わっていません。ネット・みらいは「細部にわたって見直し」を主張しました。