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トップ>カテゴリー>09都議選|09.07.02

シリーズ 09都議選 争点を追う 高齢者医療費

 お年寄りの医療費無料化を再び 「この喜び東京中に」日の出町で4月スタート

日の出町役場の窓口 75歳以上の高齢者に重い負担と医療差別を持ち込んだ後期高齢者医療制度がスタートして、2年目に入りました。国も都も高齢者を狙い撃ちにした負担増や福祉を削る流れの中で、「日本一お年寄りにやさしい町づくり」を掲げて日本で唯一、高齢者の医療費を無料化した町があります。高齢化著しい東京で、お年寄りの安心をどう確保するかは都議選の大きな争点です。シリーズ1回目は、同町の決断から見えてくる、都政の問題を探りました。
  その町は、東京都日の出町(人口約1万6千人)。都の西部に位置し、山並みが迫る自然豊かなまちです。医療費無料化を決めたのは、昨年12月議会。新聞各紙が取り上げ、全国の注目を集めました。視察ラッシュに見舞われ、町担当者は「通常の仕事ができない」と音をあげるほどでした。
  無料化は、同町に3年以上居住している75歳以上が対象で、後期高齢者医療制度の自己負担分(原則1割)を町が全額助成。医療機関の窓口で本人が自己負担分を払い、後日返金する「償還払い」制ですが、ゆくゆくは窓口での支払いをなくす方向です。対象者は1630人で、約7500万円を今年度予算に盛り込みました。(写真は医療費払い戻しの日の出町役場の窓口)
  町民はどのように受け止めているのかを知りたくて、町の老人福祉センターを訪ねました。

 

うらやましがられるね

   趣味の教室でかごを編んでいた女性は、3月に75歳になったばかりです。「持病の治療に月1回から3回、市内のクリニックに通院しているので助かります。無料化はほかの市や町の人からみれば、うらやましいことよね」とにっこり。
 老人会の集まりにやってきた84歳の女性は「年寄りにとってはありがたいことです。この土地の生まれだから、親せき付き合いもあるし、あっちこっちと出かける。もうすぐ85歳だけど、けっこう出費がありますからね」と喜びます。

予防とセットで

  財政的な面で、将来の見通しに不安を持つ町民もいますが、町は大型商業施設の固定資産税約3億円などで賄えると見ています。さらに、病気予防や健康増進の施策をセットで行うことで医療費を抑える方針です。75歳になる町民の人間ドック受診料無料化を4月から実施。健康教室やスポーツ教室も開催し、3月には健康ウオーキングをバス2台80人で実施しました。
  一部に医療機関がサロン化するのではという声もありますが、町担当者は「お年寄りが集う施設がなかったときの話。町にはお年寄りが趣味や健康づくりで集える老人福祉センターが4カ所ある。病気でもないのに、好んで病院に行く人はいないでしょ」。多くの町民が通う公立阿伎留医療センター(周辺自治体の共同運営、あきる野市)の担当も「4月からの患者数は増えてはいない。むしろ少ないくらい」といいます。
高齢者の医療費無料化は、町民の切なる願いでした。三多摩健康友の会秋川流域支部(増田忠治支部長)は昨年8月、高齢者の医療無料化を町に申し入れていました。青木国太郎町長が無料化の方針を打ち出したのはその翌月の「敬老福祉大会」のときで、万雷の拍手を受けたといいます。 日の出町の医療無料化を例に出して、都に医療費助成の実施を求めた政党があります。日本共産党で、昨年12月議会に無料化を視野に入れた独自の助成条例案を提出しています。

都は「違和感」

    このとき都は、日の出町の実施する無料化について、見解を聞かれたわけでもないのに「違和感を覚えざるを得ない」と答弁。また、自民、民主、公明各党も共産党の条例案を「選挙目当てのパフォーマンス」と、都民の願いに背を向けました(一覧参照)。
 
 しかし、後期高齢医療の保険料を払えない人が月ごとに増え続け(グラフ参照)、高すぎる医療費のために受診抑制が起きている実態に照らせば、あまりに無責任な発言です。  

 

 

 

 

 

 

 

 

革新都政が無料化

 医療費無料無料化を訴える鈴木ひろ子さん 東京は革新都政の時代(67年から3期12年)、「憲法違反」という国の圧力を跳ね返し、都民運動の高揚の中で高齢者の医療費無料化(70歳以上)を実現した歴史を持っています(69年12月)。
  無料化は全国8割の自治体に波及し、ついに73年1月、国の医療費無料化(70歳以上)につながるという先駆的な役割を果たしたのです。都は同年7月、国の対象外となる65歳以上に対象を拡大しました。
  その後、国は高齢者の医療費を83年に有料化に逆戻りさせ、負担増を強めました。国の悪政から都民を守るべき都政は、「高齢者は豊かになった」という石原知事誕生(2000年4月)後、福祉切り捨てを加速。老人医療費助成(マル福)や老人福祉手当も廃止し、高齢者の生活苦に拍車をかけました。
  一貫して石原都政の福祉切り捨てに反対してきた共産党都議団は、昨年12月議会の条例提案に続き3月都議会では、75歳以上の医療費無料化を含む予算組み替え案を提出。自民、民主、公明、生活者ネットの反対で否決はされましたが、7月都議選の大争点に押し上げ、必ず実現しようと都民とともに運動に取り組んでいます。
  健康友の会会員で、「毎月5―6千円も医療費がかかるので、無料化は本当に助かる」という須田きぬ子さん(75)はいいます。「日の出町に転入を希望する、お年寄りが増えていると聞きます。結局、後期高齢者医療制度がある限り、日本中の高齢者は苦しむということ。この制度をなくさないといけないと思う。そして医療費無料化を再び東京で実現して、日の出町民と同じ喜びが東京中に広がってほしい。共産党都議団に、ぜひ頑張ってもらいたい」

 

(「東京民報」09年4月19日号に掲載)