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トップ>トピックス>都議会報道 |08.09.21

1人191万円の海外視察 民主党が報告書を盗用  結論の95行分丸写し 

  多額の費用をかけながら都政に役立っていないと批判を浴びている都議会の海外視察をめぐり、民主党の都議が視察報告書に他人の論文を盗用していたことが4日、明らかになりました。報告書の結論部分が95行にわたり、ほぼ丸写しになっていました。テレビや新聞でも大きく取り上げられ、「税金を使っている緊張感がない」などと、批判があがっています。
  問題になったのは、06年10月に民主党の大沢昇(団長、江東区)、岡崎幸夫(大田区)、猪爪まさみ(新宿区)、大西さとる(足立区)の4都議が行った視察です。ブラジルのサンパウロやフォース・ド・イグアス、クリチバの各都市を10日間かけて訪問しました。費用は765万円で、一人当たり191万円かかっています。
  帰国後に提出したA4判27ページの報告書のうち、最後の総括部分にあたる「ブラジルにおける環境・エネルギー政策」という文章で盗用が見つかりました。
  「最後に、本調査を総括する形で、ブラジルにおける環境・エネルギー政策について概観的に論じてみたい」という書き出しで、調査団の見解のように書いていますが、95行にわたってJETRO(日本貿易振興機構)の大岩玲氏のレポート「世界の注目を浴びるブラジルのサトウキビ・エタノール」を、ほぼ丸写ししていました。
  大岩氏のレポートは社団法人日本ブラジル中央協会発行の『ブラジル特報』05年11月号に掲載されたもので、インターネット上にも公開されています。

意図的で悪質

盗用は共産党都議団の調査で発覚しました。吉田信夫共産党都議団幹事長は会見で、引用の説明や参考文献としての記述もなく、「意図的で悪質な盗用と言わざるをえない。都民をだまし裏切る行為だ」と厳しく批判しています。
  民主党も直後に記者会見し、大沢都議が「参考資料として載せるはずだったが、編集した都議に伝わらなかった」などと言い訳したうえで、「盗用と言われてもしょうがない」と認めて謝罪しました。
  しかし、参考文献のつもりだったとしながら文章の一部を自分で書き変えていることや、報告書が発行されてから時間が経っているのに訂正しなかったことなど、経緯が不自然だとして記者からの質問が相次ぎました。

いわくつきの視察

  問題になった視察は、イグアスの滝をはじめブラジルの有名観光地をまわる日程のために、実施が決まった直後から「まるで観光旅行だ」との批判があったものです。
 前回の都知事選の直前には、都議会予算特別委員会で民主党が浜渦武生参与(前副知事)の海外出張を「公費による観光」と批判したのに対し、石原知事が「観光ルートと言えば、民主党も貴重な知見のため、南米のイグアスの滝までいらっしゃったじゃないですか」と、反撃された経緯もある、いわくつきの視察です。  「他人のものを使って報告書を書いているのでは、ただ旅行に行ったと言われてもしょうがない」(アーチェリーの五輪銀メダリストの山本博氏)
  「海外視察の理由づけに他人の文章を使っている。姑息(こそく)だ」(田宮榮一・元警視庁捜査官)
  共産党都議団の指摘は、テレビの全チャンネルが繰り返し取り上げ、コメンテーターからはこのように、都議の海外視察の意義を疑問視する発言が相次ぎました。全国紙もすべて、全国版の社会面で報じるなど大きな反響を呼んでいます。
  費用の高額さも問題になっています。一人191万円をかけた今回の視察に対し、テレビ朝日のニュースは「一般の旅行なら40~50万円が妥当」という南米専門の旅行会社の話を紹介しました。
  これを受けて、「税金を使ってやっているという緊張感を持ってやってもらわないと、まじめな人が困る」と末延吉正・元テレビ朝日政治部長がコメントするなど、「税金で賄われて視察をしている意識が薄い」との批判が多く出ています。
  ある番組では、都議の報告書と大岩氏の論文のうち、同じ部分に赤い線を引いて比較。語尾や接続後を除けばほぼ一緒という中身に、「ものを盗むのと一緒。重大さを認識してほしい」(山口一臣・週刊朝日編集長)「(わざわざ視察に行ったのに)新しい見解がないのか」(木場弘子・千葉大学特命教授)など、識者らがあきれ顔でコメントしました。  自民党と民主党、公明党の都議による海外視察は、05年の前回都議選以降に6回にわたって行われ、計31人が参加しています。
  一人あたり費用は142万円から最高で270万円となっており、一般の海外旅行に比べて飛び抜けて高額なものです。
  航空機はビジネスクラスを利用するうえ、現地でも高級ホテルを利用し、専用車や専用通訳をつけることで費用が高額になることに加え、多くは観光地をめぐっていることなど、以前から無駄遣いが指摘されてきました。
  都議は視察後に報告書を提出することになっていますが、実際に行かなくてもインターネットなどで調べれば分かるような記述が多く、「視察の意味があるのか」と批判が強いものです。
  今回の民主党の視察も、結論部分が盗用ですむ程度の意味のない視察だったということになります。
  今回の問題は、共産党都議団が海外視察の実態を調査するなかで明らかになりました。同都議団は、民主党が今回の視察費用全額を都に返還するととともに、都議会として海外調査を中止しあり方を全面的に再検討するよう求めています。