都議会報道ページへのボタン
トップ>カテゴリー>環境 |08.11.23

多摩地域 子どものぜんそく急増 小学生7年間で有症率1・7倍に PM2.5規制急務

  多摩地域の小・中学生で気管支ぜんそくにかかる割合(有症率)が急増しています。2007年度の東京都の学校保健統計書によると、小学生男子のぜんそく有症率は多摩地域が23区を初めて上回り、最近7年間の小学生全体の有症率も区部は1・5倍、多摩地域1・7倍に増えています。ディーゼル排ガス中の微小粒子状物質PM2・5の環境基準の設定など、厳しい規制が急務です。
 文部科学省が毎年全国的に実施している学校保健統計によると、2007年度の小学生のぜんそく有症率は全国平均が3・9%なのに対し、東京は6・3%で全国の1・6倍、自然有症率2・5%と比べると3倍にもなる数値です。都内の中学生も4・4%から5・9%に増大し、幼稚園や高校生も同様に有症率が増大しています。
  23区と多摩地域の有症率の差も毎年小さくなり、小学生男子の有症率は昨年度で、区部7・6%、多摩(市部)7・7%、多摩(町村部)9・3%と、初めて区部と多摩が逆転しました。
  01年度と06年度の小学生のぜんそく有症率を都内各区市町村別に比べた地図(図参照)でみると、多摩地域で有症率が目立って増大していることがわかります。
  稲城市についてみると01年には、都内で一番低い1・3%の発症率だったのに対し、07年度は6・1%に上昇しています。同市では、川崎街道などの道路の拡幅に伴い、交通量が増大しています。
  この間の大気汚染物質の推移をみると、NO2(二酸化窒素)はほぼ横ばいで、SO2(二酸化硫黄)やSPM(浮遊粒子状物質)は改善されています。ぜんそくの有症率の増大は、NO2の影響やSPMの甘い基準値も一因と指摘されています。しかし急激に患者が増えているため、それだけではなく微小粒子状物質のPM2・5による影響が重視されています。
  実際、東京のPM2・5の測定値は年平均値1立方・中20・30μg(マイクログラム)で、米国環境基準(15μg)、WHO(世界保健機構)の基準値(ガイドライン=10μg)を超えており、危険水準にあります。
 「一刻も早く欧米並みのPM2・5の環境基準の設定を」─。全国公害患者の会や大気汚染公害裁判原告団・弁護団全国連絡会議などの関係者約90人が14日、環境省前に座り込んで訴えました。
  微小粒子状物質=PM2・5については、環境省の中央環境審議会専門委員会が19日開かれ、今月末までに環境基準の設定に関する報告をまとめる運びです。環境省は、この報告を踏まえてPM2・5の環境基準を設定するかどうかの決断を迫られることになります。 ところが、専門委員会の議論で、環境基準が甘く設定される危険がでてきたため、この日の座り込みや環境省交渉などの緊急行動を実施したもの。 大気汚染測定運動東京連絡会、新婦人、自治労連などの代表のリレートークや、支援の人たちの尺八、歌声とアコーディオン、トランペットなどの演奏で緊急行動を盛り上げました。

子どものぜんそく  先送りせず欧米並みの規制を (解説)

 新たな大気汚染物質として注目されている微小粒子状物質=PM2・5は、人体への危険性が高く、気管支ぜんそく急増の原因ではないかと指摘されています。
  PM2・5は、2・5ミクロン以下の小さな粒子のため、肺の深部に入り込み、粒子表面にさまざまな有害物質を吸着するので、肺がんをふくむ健康への影響が強いと心配されています。 このため、米国では1997年に環境基準を設定、2006年に基準が強化されています。WHO(世界保健機構)も同年にガイドラインを新たに設定しています。
  日本の自動車排出ガス測定局のPM2・5の測定値は、米国の基準値(年平均値1立方メートル中15マイクログラム)の1・5~2・3倍と、深刻な状況にあることも指摘されています。 しかし、環境省は「作業期間が必要」だとして、環境基準の設定を来年まで先送りする意向です。そのうえ、環境基準を欧米より甘く設定するのではないかと、心配されています。環境基準値の設定によっては、欧米なら発生源の対策を取らなければならない汚染地域も、日本の甘い設定のもとでは基準値内におさまり、対策を遅らせることにもなります。
  環境省が今年4月に発表した「微小粒子状物質健康影響評価検討会」の報告書は、呼吸器疾患に加えて心筋梗塞などの循環器への影響や肺がん、死亡リスクの増加などまで微小粒子状物質の有害性を認めており、一刻も早い欧米並みの規制が求められています。 (松橋隆司記者)