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トップ>カテゴリー>環境 |08.11.16

PM2・5の微粒子、温暖化にも影響  注目される米科学者チームの研究

  ディーゼル車の排ガス中のPM2・5などの「浮遊微粒子(スス)は、温暖化効果が二酸化炭素(CO2)より、はるかに大きい」と指摘する米国科学者の論文が改めて注目されています。これまで、PM2・5の浮遊微粒子は、健康に深刻な影響を与えるため環境省が規制を検討していますが、温暖化の面からも規制の必要を訴える研究はこれが初めて。
  公害問題の関係者は「論文が発表されたのは数年前だが、温暖化と公害の原因は同じ根っこであることを示す重要な研究だ」と、論文に注目しています。
この論文は、米国・スタンフォード大学の環境工学の専門家=マーク・ヤコブソン准教授の研究グループが、2002年10月に学術雑誌「地球物理学 大気研究」に発表したもの。
  それによると、ディーゼル排ガス中のススの微粒子は、炭素と有機物の結合したもの。ディーゼル車は、同形のガソリン車より、燃費がよいものの、この微粒子を「ガソリン車の25―400倍も排出している」と指摘。単位重量当たりの温暖化効果は、二酸化炭素よりはるかに大きく、「この微粒子に起因する温暖化は、二酸化炭素を減らす温暖化防止効果を数十年間にわたって無効にするか、これを上回るだろう」とのべています。
  同氏らは、米国カリフォルニア州の1・・当たり0・006グラムの世界一厳しい排出基準を仮に世界中に導入したとしても、ディーゼル車は13年―54年にわたってガソリン車以上に大気温暖化効果をもつだろうと結論づけています。
  ディーゼル車はこれまで「二酸化炭素の排出量も30%程度少なく、温暖化対策にも良い」と宣伝されてきました。ヤコブソン准教授らの研究は、こうした温暖化効果に疑問を投げかけたものです。
  この論文は、東京大気汚染公害裁判弁護団の小沢年樹弁護士が訳出して、裁判所に証拠資料として提出しています。
  小沢弁護士は「ディーゼル車の規制は、温暖化対策とPM2・5対策の両面で必要なことを示す重要な論文と考えて訳したもの」とのべています。
  原希世巳・同弁護団事務局長は今年初め東京で開かれた「温暖化対策を考えるシンポジウム」で、この論文を紹介、「地球温暖化と、自動車排ガス問題は表裏一体の関係だ」と指摘しています。
  大気汚染の専門家・藤田敏夫さんも「論文の結果は十分考えられることで、論文の真剣な検討とディーゼル車の規制、排ガス中のPM2・5の環境基準の設定を急ぐべきだ」と話しています。

【注 SPMとPM2・5とは】

 SPM(浮遊粒子状物質)は、大気中に浮遊する粒子の大きさが10ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)以下のものをいい、PM2・5(浮遊超微粒子)は粒子の大きさが2・5ミクロン以下のものをいいます。粒子の大きい方は、海塩粒子、巻き上げ土壌など自然由来のものが多いのに対し、粒子の小さい方は、人為的な自動車排ガスや工場の燃焼物に由来するものが多く、健康にも悪い影響を与えるといわれています。