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小さな動物園に情熱かけて 羽村市動物公園 ガイド本を発行 元園長・赤尾さんに聞く

 JR羽村駅から20分ほど歩くと、住宅街に囲まれた羽村市動物公園があります。面積が上野動物園の3分の1ほどという園内は、小さな動物園ならではの温かい雰囲気と工夫された動物の展示が魅力です。民間企業勤務から公募で園長となり、2007年10月まで勤めた赤尾壽允(ひさのぶ)さんが、「名物園長」として地域に愛された5年間の経験をもとにガイド本をまとめました。(聞き手・荒金 哲 写真・五味明憲)

 

赤尾元園長―公募で園長に就任するのは珍しいですね。
  新聞で公募のお知らせを見たのは、住宅会社を定年退職して顧問で働いていたときでした。子どものころから動物好きだったので、面白そうかな、一度くらいは冒険してみようかなと思いました。妻にだけは話しましたが、子どもにも会社にも秘密にしての応募でした。
―園長として何に取り組んだのでしょうか。
  動物園をどう改善したらいいか職員に提案を書いてもらったり、一対一で話す「ワンワントーク」をしました。良い提案はリストにして、一つひとつ具体化していきました。お客様から園内が良くなったと言われるようになり、職員もどんどんやる気になっていったと思います。
―市営の園では資金を多くは使えません。
  動物も御嶽山で見つかったテンなど保護された野生動物をもらったり、他の動物園から繁殖用として借りるなど、工夫して増やしてきました。猿山でのイベント「牛乳風呂」も、展示を工夫して楽しんでもらおうというものです。猿がお湯につかる姿を見てもらおうとしたのですが、すぐに風呂から出てしまいます。そこで、お湯のなかに餌を入れて牛乳で白くしました。餌を探すうちに猿も、長く湯につかっている方が気持ち良いと気付いたようです。
えさを食べるモルモット―職員の発案による工夫もいろいろとあるようですね。
  50羽ものルリゴシボタンインコを他の園からもらった時には、新しいインコ舎を手作りしてくれました。雨に降られても施設のなかでモルモットやヒヨコなどに触れられる「どきどきハンズオン」というスペースを作ったのですが、そこでは「モルモットの大行進」(別稿「餌を食べるモルモット」)を始めて大人気になりました。
―敷地が狭い分、動物との距離が近くて観察しやすいですね。
  住宅地にあるため、猛獣を飼えないなど制約はあります。しかし、平坦な地形で自然にバリアフリーになっていますし、老若男女誰でも楽しめる園です。上野動物園や多摩動物公園が「遠足型」なら、羽村市動物公園は「散歩型」だと思っています。
―「散歩型」の園とはどういうことでしょうか。
  そこに行けばいつでも自分の大好きな動物が見られる、面白いイベントに出会える、そしてほっとできる場所がある、そういう園です。
  動物と出会うことは、人間に愛情や知識など何かを残します。例えば「どきどきハンズオン」には、車いすで来ても動物に触れるよう用意しています。動物の温かさに触れて、「生きていてよかった」と涙を流されるんですね。
―動物園の持つ力ですね。
  目の見えない人の「バードウオッチング」も開催していました。バードカービングという木で彫った、精巧な鳥の模型を触ってもらいます。鳴き声の出る図鑑を使い、声も聞きます。園内を回りながら、シジュウカラやマガモの大きさを知り、声を聞いてもらい、またヒヨコに手で触れる。そうすると、目の見える私たち以上に鳥が「見えて」くるのです。手伝うこちらが感激してしまいます。
  また、小学生には飼育体験をしてもらったのですが、卒業式に行くと、雪のなかでペンギンに餌をやった思い出を話してくれる子もいました。子どもたちは今も私に声をかけてくれます。
―赤尾さんがまとめたガイド本では、元園長ならではのエピソードを入れながら、一つひとつ動物を紹介しています。
  5年間の園長としての生活の「卒業論文」だと思っています。この本を持って園内を一周すると、動物がもっと身近に感じられると思います。お客様が動物を観察する時間が長くなればうれしいですね。


羽村市動物公園
所在地 東京都羽村市羽4122番地
電 話 042-579-4041
営業時間
   3月―10月 午前9時―午後4時30分

   11月―2月 午前9時―午後4時
休園日 毎週月曜日と12月29日―1月1日

 

「はむらZooわくわく探検隊」『はむらZOOわくわく探検隊』  赤尾壽允著 定価1000円
送料・振込料は筆者負担。 購読の希望は直接、赤尾氏へ。
akao-h@m2.hinocatv.ne.jp  ファクス042-584-6676